プログラミング、めっちゃ難しい……。
IT業界、自分には向いてないかもなぁ……。
「人は得意、不得意がある」という言葉をよく耳にします。
そんなの当たり前じゃん。
そう思うかもしれませんが、「なぜなのか」「自分は何が得意なのか」は理解していますか?
1つの方向から判断するのは時期尚早。
多面的に自分を見つめ直してみましょう。
そこで役立つ『多重知能』について紹介します。
『知能測定』の起源
まずは、知能指数の歴史から紐解いていきましょう。
古くから知能を測定し、絶対的な値で示すための研究が行われてきました。
それは1905年、ビネーとシモンによる「知能測定検査」から始まります。
1912年に「知能指数(IQ)」と「精神年齢」という指標が取り入れられ「精神年齢と生活年齢との比で求める比例知能指数」の概念が広まります。
俗にいう「IQ」です。
しかし IQは人を選別する道具として、昨今の知能テストとして活用されています。
そこに疑問を呈したのが、ハーバード大学 発達心理学者のハワード・ガードナーです。
『多重知能』の提唱
1つの指標だけで人間の知能が測定できるのか。
そう疑問を呈したガードナーは、1983年に出版した自著である主張をします。
In order to capture the full range of abilities and talents that people possess, Gardner theorizes that people do not have just an intellectual capacity, but have many kinds of intelligence, including musical, interpersonal, spatial-visual, and linguistic intelligences.
【日本語訳】
Frames of Mind: The Theory of Multiple Intelligences
人は知的能力だけでなく、音楽的知能、対人的知能、空間視覚的知能、言語的知能など多くの種類の知能を持っている。
ガードナーは、人が持つ能力や才能を余すところなく捉えるために、測定可能な指標を広範囲にしました。
この理論を『多重知能理論(Multiple Intelligences: MI)』として提唱しました。
『多重知能』の種類
9つの知能に分けられます。
- 視覚・空間 知能
- 言語・語学 知能
- 論理・数学 知能
- 身体・運動感覚 知能
- 音楽・リズム 知能
- 対人 知能
- 内省的 知能
- 博学的(自然主義的) 知能
- 実存的 知能
試してみよう
以下の『verywell mind』という海外サイトで、簡易的なタイプ診断ができます。
日本語に翻訳して、ぜひお試しください。
……テストは、実施できましたか?
ちなみに私は、
『言語・語学知能』でした。
それでは、詳しくみていきましょう。
視覚・空間 知能
アーティスト気質があるので、感覚的にやっている部分もあります。
そこをいかに言語化できるかがポイントになってきます。
言語・語学 知能
私はまさしくここに属しています。
現在は新卒教育やプロジェクト内のドキュメント整備を率先して行うようにしています。
論理・数学 知能
多分ここに属する人は自分で「エンジニア向いてないよな…」と思うことは少ないと思います(投げやり)
身体・運動感覚 知能
大工、彫刻家、ダンサーや俳優など身体全体を動かす仕事に適した気質です。
音楽・リズム 知能
作曲家や歌手などに多い傾向があります。
エンジニアには適していないのでは?と思いがちですが、耳からの情報を整理したり覚える力に長けているため、顧客との会話を通して行うタスクに向いています。
対人 知能
言葉では表現できない心理学的な深い部分を理解していることが多いです。
営業、販売員、カウンセラー、政治家には対人知能に長けた人が多い傾向にあります。
内省的 知能
長所・短所に左右されず、自分自身を正確に認識しています。
よく「マイペース」とも言われますが、これは自分を尊重し、自分の行動スタイルを確立できているということでもあります。
関心のある技術や分野を深堀りしていく力に長けています。
博物学的(自然主義的) 知能
広い関心があるため、さまざまな事象から法則性や分類を行うことができます。
枝葉の作業というより、上のレイヤの作業に向いている傾向があります。
実存的 知能
哲学的な思想を無意識に持っているため、より高いレイヤの考え方ができます。
別の言い方をすると『業務は業務、人生は人生。仕事は人生の一部に過ぎない』くらいの達観した考え方を持っている方が多い印象です。
長期的な見通しができるため、新人の教育や経営者に向いています。
●視覚・空間 知能
- 物事を視覚することが得意
- 地図、チャート図、動画や写真などの視覚的、空間的判断能力に長けている
●言語・語学 知能
- 書いたり話すときに、言葉を上手に使う
- 物語を書いたり、読んだりしたことを記憶することが得意
●論理・数学 知能
- 推論、パターン認識、問題に対する論理的分析が得意
- 数、関係、パターンについて概念的に捉えることが多い傾向にある
●身体・運動感覚 知能
- 身体を動かすことが全般的に得意
- 手の器用さ、目の視覚空間認識の両者を備えている傾向がある
●音楽・リズム 知能
- リズムや音について考えることが得意
- 音楽についての関心が強く、作曲や演奏が得意な人が多い傾向
●対人 知能
- 他人を理解し、交流することが得意
- 周囲の人の感情、動機、欲求、意図を汲み取ることに長けている
●内省的 知能
- 自分の感情や動機について理解している
- 空想に耽ったり、他者との関係を探求したり、自分の強みを評価するなど、内省と分析を楽しむ
●博物学的(自然主義的) 知能
- 自然と調和しており、環境の変化に敏感
- 生き物を育てたり、調べることに関心がある
●実存的 知能
- 生命と存在に関する問題について、深く考える能力がある
- 人生の意味、私とは何かなど「大きな」問題について熟考する傾向がある
まとめ
各項目に、適しているキャリアを記載しましたが、だからと言って『IT業界に向いていないということではない』です。
IT業界だけでも多種多様な業種があります。
あなたの特性に合った仕事が必ずあるはずです。
ここから先は、ご自身で見つけてみてくださいね。
私は早い段階でプログラミングが苦手であることに気づきました。
人に教えることが好きなので、新卒研修などのサポートに徹するようになりました。
社内でも、人事や教育ポジションに移行しています。
自分の特性を活かして、居場所を作るような動きができるといいかも知れません。
参考
Gardner’s Theory of Multiple Intelligences – verywell mind
田中ビネー知能検査開発の歴史 – PDF形式 論文
8つの知能(MI)ってなぁに? – 日能研
ガードナーの「多重知能理論」 – 【未知会ログ】
多重知能理論からみた近年の教育改革批判 – PDF形式 論文
多重知能理論 – tomoyanの『遊びを考える』
ITの仕事の紹介 – 職業情報提供サイト jobtag