【IT企業】新卒研修を通して学んだこと、意識したこと

新卒教育の講師を通して学んだことマネジメント
サバ缶
サバ缶

どうもこんにちは!
サバ缶(@tech_begin)です。

私は、いま勤めている会社に新卒入社して5年が経ちます。

若手社員の研修も担当するようになり、研修カリキュラムや次の新卒講師を教育するポジションになりました。

徐々に研修講師として、自分の中で体系づいてきたこともあり、私個人の備忘録・今後のナレッジとして記事にまとめ、公開することにいたしました。

普段の業務で考えていること、入社したての新卒社員に対してどのように接しているのか。

いち個人の考えに触れてもらえると嬉しいです。

サバ缶
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思い浮かんだことを書いているので、読みづらい部分があるかもしれません。

これからブラッシュアップしていきます……!✍️

かんたんに自己紹介

いま勤めている会社に、新卒入社して5年が経ちます。

スマホアプリ、サーバサイド、自社HPの保守管理などを経て、現在はプロジェクトリーダーや新卒研修を担当しています。

詳しくは以下の記事で、業務内容などに触れています。

新卒研修で意識していたこと

イメージで伝える

わたしは以前から、メンバ間で認識を合わせるためにイラストを描いて確認することが多々あります。

プロジェクトメンバ同士の認識齟齬を、私が図解化をし、仲介役として立ち振る舞っていました。

また、別のものに置き換えて考えることもしてきました。

そのようなポジションの経験から『イメージで伝える方が的確に伝わる』ということを体感しました。

以下のような場面で、適宜イメージで伝えるようにしました。

サーバやローカルのPCなど、登場人物や位置関係を理解できないケースが多かったので、図解はとても役に立ちました。

周辺技術がどういう関連性を持っているか図解化すると伝わりやすいです。

新卒教育_技術イメージ1
Swagger_スキーマのイメージ

タイピング速度が重要であることを伝えるために、別の例を挙げて伝えました。

タイピングがエンジニアにとって根底であり「できて当たり前」のものであるということを「フードファイター」に置き換えて説明しています。

ある新卒が上司の話を聞いている時に「うん」と相槌を打っていたところ、別の上司に失礼だと指摘されたことについて悩んでいました。

失礼と思われない相槌はどのようにしたらよいか、と相談を受けた場面です。

私は『対話は音楽と同じだと捉えている』と伝えました。

相槌の種類を「はい」「うん」「無言(うなずき)」の3つに分け、音の大きさで分類して考えています。

少し話は逸れますが、音楽制作において「マスタリング」という音量を調整する工程があります。

イントロ部分ではギターやドラムの音を強めにし、歌が始まると楽器の音は抑えてボーカルの音が明瞭になるように調整します。これらの音を調和して『1』になるように調整します。

楽器の音や声がお互い『1』の音量でぶつかり合うと、違和感が生じてしまいます。これと同じであると表現しました。

  • はい:「a i」で母音が2つに分かれているため、分断されるイメージです。
  • うん:「u n」で口を開かずとも発音できる言葉です。そのため、自然と馴染む音でありながら頷きを示すことができます。
  • 無言:対面(またはカメラ越し)でうなずくことで、音の邪魔をせずに相槌を打てます。

相手が一呼吸置いて話そうとしているときに「はい」と言い、話の途中などであれば「うん」と言って相槌を打つなどして私は調整していることを伝えました(新卒にとっては結構難しいことだと思いますが……)

ある新卒が、技術調査に時間をかけすぎてしまいなかなか先輩に相談しに行けないと悩んでいました。

ここでは『知識の球体』をイメージとして伝えました。

知識や経験が多いとその球体は大きくなります。
ベテランエンジニアの先輩ほどその球体は大きいです。

  • 1年目:ビー玉くらい
  • 2~5年目:ピンポン玉くらい
  • 6年目~:ソフトボールくらい
  • ベテラン:バレーポールくらい

知識や経験がたまると、球体の体積が少しずつ大きくなる。
球体が大きいということは、表面積も大きい。
表面積が大きいということは、見えている周辺技術も幅広いというわけです。

直径1cmの新卒の知識の球体。
直径10cmの先輩の知識の球体。
差は歴然ですね。

自分が何をわかっていないのか、何を聞くべきなのか先輩はわかるのですぐに相談しに行けますが、球体が小さい新卒はそもそも何が分かっていないのか、何が必要なのかすらわからないと思います。

この事実を伝えた上で、聞くことを恐れず「何をやればいいのか、どうしたらいいのか」わからなくなったらすぐに質問するように伝えました。

相談(愚痴)を受けたときは、できるだけ共感しない。

相手(新卒)の伝えたいことを受け止めることに徹します。そして、共感はせず「より良い状況にするにはどうすれば良いか」を提案するようにします。

相談を受けた際に考えていること
  • まずは話を聞く。
  • そして頭の中で、主人公となる新卒を中心に置き、その他周辺人物を整理する。
  • 補足情報が欲しい場合は、追加で質問して会話していく
  • 関係図が頭の中でイメージできたら、「自分だったらこうする」というのを伝える
  • 自分と新卒との間で、「人間性」と「レベル(難易度)」で判断し、パターン分けする
  • 人間性◯、レベル◯
    • そのままやってみて!
  • 人間性◯、レベル✖︎
    • ちょっとレベルを下げて、「ここからやってみたらどうかな」
  • 人間性✖︎、レベル✖(人間性が合致していないので、そもそもレベル感がない)
    • A君の場合だと、この方法は難しいと思うから、こうしてみたらどうかな?、と相手の立場で提案してみる。
    • そしてその提案は強要しない。

先輩として、会話をしていて感じることを本音で話す。

本音を知ることで、安心してもらう。

新卒にとって、上司が何を考えているのか分からないのが1番不安になるため。
どういう意図でこの指示をしたのか、指摘をしたのか本心がわからないと辛い。

「上司はそんなこと考えてないよ。本音を言うと、新卒にそんな高いレベルを求めていない。できなくて当たり前だと思ってる。だから時間はかかってもいいよ。でもそれをやるにあたって、判断を上司に仰ぐって言うのも一つの手段だと思う」など。

双方向に綿密に連絡

リモートワークがメインになったが故に、お互いの状況を綿密に把握することは重要視していました。

  • 上司に新卒たちの状況を共有(実態を把握しづらいので)
  • 新卒たちに上司からの連絡や、自分の欠席、不在の連絡を細かく伝える
  • 接触回数を増やすことで話しやすい雰囲気を作る

不安を取り除くために

質問することを恐れている新卒が多いように感じます。

とは言っても、1年目の私もそうでした。良い自分を見せたいとばかり考え、相談も質問も全くできず、自分一人悩みを抱えて潰れてしまう……そんなことが多々ありました。

新卒たちの気持ちは痛いほどわかるので、逆の立場に立って「相談することは全く悪くない」「むしろ綿密に相談してほしい」「その方が上司としては君たちの状況がわかるので安心できる」「勝手に間違った方向へ進まないか心配している部分もあるので、安心させてほしい」「そうそう、上司を安心させるつもりで相談してほしい」

心の中では、「もう〜心配性の先輩〜、安心させてあげますよ〜」くらいの気持ちで気軽に質問したりしてきていいよ(笑)くらいでフランクに伝えるようにしていました。

新卒たちにとって最優先すべきことは、心理的安全性であると考えているためです。

ある新卒が、お客様との面談をした時のこと。
口調が強くなるようなお客様で、現場に入るのが少し怖いと話していました。

私は「そういう感情を表に出しても良いような甘い環境で仕事をしてきたとても可哀想な人だと思って、受け入れてあげればいいんだよ。ストレスが溜まってもう無理と思えば、上司に相談しなさい。」「あなたの代わりはいくらでもいる」「責任はあなた一人で負うべきじゃない」と伝えました。

自信のない若手は、自分がやらなければ!と無駄に自分を追い込みます(私もそうでした)

ただ、組織として、チームとして仕事を完遂すればいいことを学んだので、それを伝えています。

一方で、学生の頃あるていど技術を学んで自信のある若手に関しては、少し背伸びをした仕事を任せるようにして成長を促すよう心掛けています。

採用担当者に提案したこと

メンター制度

新卒にとって、社内に相談できる先輩が1人でもいることはとても心強いものです。

私も、3つ上の先輩に『兄貴分』のような感じで親しみを持って接しています。

仕事のこと、恋愛のこと、友人と遊んだ時の話など、よく話していました。

そういった先輩との関係性は、リモートワークが主流になった今、とても難しいものと考えています。

なぜ?

出社していた時と比べると、何かのついでに雑談をする、といった場面が減りました。

リモートワークでは『必要な連絡を、必要な時にだけする』というスタイルが一般的なため、効率的で合理的なスタイルになった一方、人として接触する回数が極端に減ったと感じるためです。

そして、私は新卒研修として講師をしています。

サバ缶
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毎日接してるし、話しやすいはず!

……と思い込んでいないか改めて考えてみると、以下のような構造になっていることに気がつきました。

年次接触回数結果
上司離れている毎日(多い)毎日接するものの、上司だから迂闊に話せない。砕けた感じで相談しづらい
1つ上の先輩近い月1くらい(少ない)接触回数が少ないが故に話しやすい。1つ上の先輩なので、昨年の経験談も聞ける。身近に感じ親しみやすい。

そこで、内定者の段階から新卒との関係性を密接にし、『(極端にいうと)仲良くなってもらう』ことを少し要素として組み込んで研修を行なってもらうように提案しました。

サバ缶
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余談ですが、、、、

私は学生の頃、図書室へよく行っていたのですが、

先生ほどの権限もない、けれでも校内にいる大人という絶妙な立ち位置の

図書室の先生はすごく話しやすく、相談しやすい存在でした。

上記の提案も、この『図書室の先生』的立ち位置の確立を目的としています(伝われ)。

ハブ役

入社したての新卒は、『社内で最も下の立場』であり『全く信頼関係を築けていない』状況にあります。
すると、以下のような相関性を見出すことができます。

タイムラインのタイトル
  • 社内で最も下の立場 & 信頼関係が築けていない

  • どうしても受け身がちになってしまう

  • 先輩社員へ積極的に話しかけることも難しくなる

  • 自分が所属する部署の情報や、どんな先輩社員がいるのか不明なまま配属される

  • ⚠️

    新卒社員と部署とのアンマッチが発生する

こういったことを防ぐために、『ハブとなる役割の配置』を提案しました。

新卒メンバと比較的年齢も近く、頻繁に接触する先輩社員&中堅以上の社員とも交流がある社員をハブ役として配置することで、新卒社員が興味のある技術や分野に関連のある先輩社員と紐づけることができます。仲介役とも言えますね。

新卒研修を通して学んだこと

新卒研修を通して学んだこと
  • 新卒研修とは「自分の許す力を養う」ことでもある
    • ありのままの新卒を享受し、社会人としてNGな癖を課題として認識させ、改善へ向けて手を引っ張る
    • 背中を押しても変な方向に進んでしまうタイヤが不安定な車のおもちゃみたいになっちゃう。自分が率先していく
  • 全てできる先輩でいない。できない自分も見せる。
    • 完璧である必要はない。できないこと、苦手なことを理解して、それが原因で問題に発展しないように注意するようにすればいい。
    • 苦手なものは誰しもある。でも、それを対処する力をつけることはできる。
  • イメージで伝えることは、共通認識を持つために重要
    • 時間がかかってもいいから、手書きでもいいから図解化、イメージ化する。
  • 上司・先輩として本音を語るのは、新卒を相手にする場合、不安を拭うために必要
    • どういった思いで指摘しているのか、新卒のその行動は上司が見た時どう感じたのかをきちんと伝えることで、視野を広げる。
    • 不安は「わからないことがある」ことが起因しているため、視野が広がることは不安の払拭にもつながる(はず)

新卒教育とは、許す力が大切。

そして、もし悪い結果に至っている場合は、必ず何か原因があるはず。

その原因を掘り下げるのが重要。

自分のことを棚に上げず、自分の行動や言動が原因ではないか考えることも大切。

新卒研修を通して反省点

新卒研修での反省点
  • 全ては因果である
    • 他人の行動を表面上だけで判断せず、多面的に観察すべきだった。
    • 上司に「新卒Aが同じミスを繰り返す」ということを少し強めの口調で訴えたところ、「それは本当に新卒Aが悪いのか?」と指摘された。
    • 結果には必ず原因がある。君自身の伝え方に問題はないか、まずは振り返るべきだと諭された。
  • 「teach(教える)」ではなく「coarch(行きたいところへ送り届ける)」
    • 上司の教え方と自分の教え方を比較して気づいた。
    • 私は自分が持つ知識を、いかに分かりやすく、1から伝えるかばかり意識していた。それは自己満足。
    • 上司は、新卒自身に考えさせるように質問を投げかけていた。
    • また、本人が望む方向性へ導いてあげることも大切。

まとめ

正直、新卒教育には講師の数だけ方針があり、教え方があると思います。

ですので、一概にこれが正しいとも言えないものであると私は考えています。

ただ、全てに共通するのは『相手のことを思いやること』かと。

少し厳しめの言葉をかける、精神的に苦しそうだからサポートするようにする…など常に相手のことを考えて接する必要があると学びました。

今年は後輩との関わりも多くあり、説明をすると「とても分かりやすかったです!」と活き活きとした表情を見ることができて、私自身力をもらうことも少なくありませんでした。

反省点を活かして、来年度の新卒たちへのフォローを頑張っていきます!💪

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